You Jazzy Nork! / Howard Jones
POPS
2ndアルバム”Dream Into Action”からカットされた12インチシングル、”Things Can Only Get Better(Extended Mix)”の収録曲だ。
同シングル版には、上記の曲がA面に、”Why Look for the Key”と表題作がB面にこの順で収録されている。
ハワード初期12インチの意欲作
ハワード・ジョーンズは初めの3枚目のアルバム辺りまで、アルバム曲をカットする際に12インチシングルの形で多く出している。
それ以降も出しているかも知れないが、出ていたとしても日本では紹介されていないものと思われる。
【 追記(2016年3月23日) 】
4thアルバムと5thアルバムからも12インチは出ている。
1stから2ndまではメジャーなアーティストのイメージが強かったせいか、2ndまでの作品を集めた12インチ集は2枚ほど日本版で出ているが、表題曲はその2枚には収録されていない。
1stから2ndまではメジャーなアーティストのイメージが強かったせいか、2ndまでの作品を集めた12インチ集は2枚ほど日本版で出ている。
表題曲は、そのうちの一枚の『オンリー・ゲット・ベター 12インチャーズvlo.2』にも収録されている。
だが、そちらは片面に3曲収録している上に33回転なので、12インチと比べると、ミックスも違うのか(正確には、マスタリングが違うだけなのか)、若干音が落ち着いている。
12インチの方は45回転で、表題曲は、同じB面に収録されているのがあと一曲だけのため、音が鮮烈だ。
レコードでは、音を収録するとき、より短い時間の音源で片面いっぱい使ったほうが、音のディテールが細かくなる。
最近の音楽のリミックスものは、DJやリミキサーのような人が担当しているケースが多く、純粋な音楽というよりは、フロア用BGMとして解体されていると言った方が、当たっている。
12インチシングルレコード全盛の時代、オリジナルの別バージョンが盛んに作られたが、作曲者本人が作っているものが多く、長さを伸ばしてダンスフロア仕様にしたもののほかに、新たに作曲した要素が入っているものもあった。
表題曲は、後者に当たる。それも、かなり意欲的だ。
原曲は”Why Look for the Key”だが、タイトルすら変えてしまっている。
当時の他の曲と比べても、毛色が変わっている。
リリース当初、ラジオで聴いたときは、ハワード・ジョーンズの作品だと知って、驚いたくらいだ。
何せ、ヴォーカルが入っていない。(メロディーや、多くのパートの幾つかの音は、原曲と同じだ。)
当時輸入レコード店で入手して、浴びるほど聴いた。(日本版はリリースされていない。)
原曲をジャズ風味に変えてしまっているのだが、本当のジャズではない、その加減が、かえってかっこ良く聴こえる。
(テンションの処理が、ジャズと少し違う。)
曲調としては、”Things Can Only Get Better”に近いが、もっとインストとして洗練させた発展型だ。
シンセブラスと、シンセのクラビネット、シンセベース、スウィープ音が相互に絡む。いずれもDX7だろう。
メロディーを奏でるストリングス(弦楽器のこと。ここではヴァイオリン)が生楽器っぽく聴こえるが、フェアライトCMIじゃないかと思う。
高い音で音が薄くなる感じがあるので(当時のサンプリング音再生技術では、高い音ほど音のデータが単純に引き伸ばされる)、そう思うのだが、これはイギリスの寒空を思い起こさせるようで、テクノロジーの欠点が目立つというふうにはなっていない。