STAKEHOLDER / tofubeats

POPS

tofubeatsメジャー三枚目のアルバム(但し、”lost decade”を一枚目として数えた場合)。

曲数が抑え目のせいか、少し安い。
名の売れたゲストがいないせいか、中古でも値落ちしていて、求めやすくなっている。

あと、どうでもよいが、ジャケットがいい感じにふざけている。

密室のような音楽

前作”First Album”(ややこしい!)は、豪華ゲスト・ヴォーカルがてんこ盛りだった。

それとは対照的に、今回は、ヴォーカル入りの曲全曲を作曲者がほぼ自分で歌っているため(本人以外は仲の良いDJアーティスト一人だけ)、多彩なヴォーカリストやラッパーが織り成すカラフルさは陰を潜め、その分、ビートが浮き上がってくる感じがある。

音は例の継ぎ接ぎの様な感じで面白さをキープしていて、しかも良く整理されている。とっちらかった感じはない。
こちら(音の方)もほぼ一人じゃないだろうか。
ゲストが楽器の演奏で参加していないと思う。

とにかく、開き直って完結させている雰囲気がとても強いアルバムだ。

幾つかの曲では、タイトルトラック”STAKEHOLDER”の旋律が使用されており、クラシックの数楽章から成る楽曲のように、アルバムに統一感をもたらせている。

沈静した歌詞

詞の世界も、内観的で、具体的なストーリーがあるものよりも、何らかのイメージを喚起させるものの方が、比率が高くなっている。

ストーリーがある歌詞だと、頭の中で体を動かしながら聴く感じになる。
イメージ中心だと、そういうのはない。
ビートが激しく本能に訴えかけるのに、歌詞は感性につないでくる。

詞の世界では、最後のトラック『衛星都市』が個人的には好みだ。

珍しい歌詞のポップソングが一曲ある

“T.D.M. feat.okadada”は、アルバム中一曲だけ、ストーリーがはっきりしていて、起伏もある、分かりやすい歌だ。

歌詞の主人公はトラックメイカー(デジタル音源で音楽を作る作曲家のこと)で、付き合ってる人と遊びに行きたいんだけど、この曲ができあがるまではだめ、という状況を歌っている。

一般の人が主人公というわけではないが、TVドラマや小説では、そういうケースは決して珍しくはないので(医者や作家、経営者など、社会では少数派の人々の苦悩を描いた作品は結構ある)、楽しめると思う。

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