組曲『惑星』 / ホルスト

Classical Music

ホルストの代表作で、1914~1916年に作曲された。
オーケストラによって、音で太陽系の惑星を描写した作品。

この曲は、改めて聴いてみた感じでは、私の中で、曲の書き方がムソルグスキーの『展覧会の絵』とかぶる。
とても独創的で、寡黙な造りであるというところと、メロディーが跳躍するところが、実によく似ている。

気の利いた、飽きない構成

メロディー素材が練り上げられていて、数は最小限に絞り込まれており、メロディーが切り替わることで、スイッチが切り替わるように、雰囲気を少しずつ変えながら曲が進行して行く。
1回進行すると、同じメロディーは出てこないようだ。振り返らずに進む、というより、逆戻りをしないように設計されている。

クラシックでは、最小限の音しか鳴らさないのが普通ではあるが、この曲では特にすべてのパートが無駄なく配置されている。

曲想については、すべてのアイデアが創作、という訳ではなく、実は……

火星が戦争の神、金星が平和の神、……という具合に、各曲に副題がつけられている。
音楽の方もその通り、火星の曲は勇ましく、金星の曲は穏やかで、ホルスト本人がそのようなたとえを考えたのかと感心していたのだが、これらはホルストが作曲当時はまっていた占星術からとったものだということだ。
現実の惑星とは直接関係がない。

地球は?冥王星は?

地球の曲がないのは、占星術では当然夜空の星を使うので、地球を使わないからということなのだろうが、冥王星もない。
これは、この曲ができた当時まだ発見されていなかったからだ。
冥王星は、1930年にアメリカの天文学者クライド・トンボーによって発見される。(ホルストはまだ生きているが、曲ができてから14年も後だ。)
もっとも、今では準惑星に格下げになっているが。なかなか不遇な立場ではある。

ホルストと言えばこの曲だが……

ホルストにはこのほかに有名な曲が余りないのはどうしてなのだろうと思っていたのだが、単に病弱だっただけのことらしい。
そうは言っても、作品がわずかしかない、というわけでもない。
普段は音楽教師を営んでいたのだそうだ。

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