プリンセス・プリンシパル
スパイ物+歴史ロマンのオリジナル・アニメ(2017年7月~9月放映)。
例によって、タイトルがおかしいのではないかという話
このブログでは、アニメのタイトルで安易に英語を間違った意味で使っているケースについて、折に触れて指摘している。
「プリンシパル」というのは、恐らく1987年のアメリカの映画『暴力教室』(原題:ThePrincipal)からインスパイアされて、「教室」という意味で使っているつもりなのだろうが、若干無理があると思う。
同映画作品のタイトルの意味は、直訳すると「校長」が正しい。ストーリーも、主人公が校長として赴任した学校で、校内暴力を暴力で鎮圧するというものらしい。
このアニメのストーリーのイメージは確かにこの映画に近いが、”principal”はこのアニメのタイトルに使う単語としては(作中のスパイ組織の名前でもある。学校に潜入しているのでこういう名称になっているもよう)いささか強引ではある。
挑戦的な部分が多い設定・ストーリー
ストーリー・設定に触れるとすると、架空の世界ではあるが19世紀イギリスが舞台で、「王国」と「共和国」の東西に分裂したイギリスで、革命を起こすために送り込まれた共和国側のスパイ組織の話だ。
スパイが女子高生である(年長者が一人だけ任務のため実年齢を偽って高校生に扮しているが)、エピソードの順が時系列ではない、架空の王国の話である、SFの要素がある(ケイバーライトという空に浮かぶ物質が出てくる)、など、アニメとして使いやすい範囲で面白い要素をとにかく詰め込んで、とても凝ったつくりになっている。
こう書くと奇をてらっているようだか、お話としての面白さもちゃんとある。
なお、筆者の見た感じでは、各話は一回見ただけでは、オリジナル・アニメの割には、設定の密度がやや高く、内容が良く分からない場合があった。
ストーリーをきちんと追いたいのであれば、そういう回については、じっくり2回くらいは見たほうが良いかも知れない。
カテゴライズできない作品
この作品は、理屈抜きに楽しめる。だが、作り手が何をやりたかったのかと言えば、要するに、斬新なものにしたかった、ということなのだろうか。
ジャンル分けすると、スパイアクションものだが、そこに収まってはいない。