機甲創世記モスピーダ

ロボットもの

タツノコプロがアートミックと共同で企画・制作した1983年10月~1984年3月放映のロボットアニメ。

名作との再会

今回、地方テレビで放映されているのを偶然発見し、途中からではあるがテレビで最終話まで見ることができた。
第一話からYouTubeに上がっているので、そちらも少しずつ見ている。

当時は日曜日の午前中に流れていたのだが、かっこよいメカが出てきたなあ、というくらいで、あまりきちんとチェックしていなかった。

バイクが変形してロボットになるのが「モスピーダ」で、ロボットというよりは強化スーツだ。
戦闘機がロボットになる「レギオス」も登場する。こちらは、人間が搭乗する。

ロボットものの歴史の流れからすると、ロボットのサイズが小さくなってデザインも洗練されてきた、という感じだった。

オープニングの映像も曲も、当時としては斬新だったのを覚えている。
オープニングのアニメーターは、めりはりの効いたアクションで有名な、当時売れっ子だった金田伊功氏だ。

絶望的なストーリー

異性人インビットに地球を奪われ、人類は火星に逃れて、地球を奪還すべく攻撃隊を送るが、二度に渡り敗北を重ねる。
地球にたどり着いた火星生まれの軍人が、元から地球に住んでいるはぐれ者と出会い(地球人の多くはインビットによる支配に抵抗する気力を失っている)、インビットの本拠地を目指して旅をするという話だ。

久々に見るに当たって、そんな悲惨な物語だったのかと、腰を抜かしてしまうほど、絶望的だ。

実際、彼らの道中には、動力を切らずに人だけが逃げて捨てられた町が出てきたり、延々と続く荒野があったりという具合だ。
これでもかと戦いの凄惨さを物語る情景が連なる。

そういう中で、敵が断続的に襲ってくる。
この世界では、HBTという燃料が機械やエンジンを駆動させるのに使われているのだが、これを使用すると、インビットが感知して攻撃を仕掛けてくるのだ。

ちなみに、このHBTとは、劇中では「複合水素燃料」だということなのだが、物語の制作上では「GAS」を一文字ずつずらして作った単語だとのことで、なるほどよくもそれらしく仕立て上げたものだと思う。いかにもという響きだ。

男性中心の時代の終焉ぎりぎりの時期の作品

80年代前半は、社会が女性中心に切り替わって行く過渡期にあったと思う。

オープニングの『失われた伝説(ゆめ)をもとめて』の歌詞に「男は誰もLonely soldier boy」というフレーズがあったり、作中にも男のダンディズムがそこここに見え隠れしたりする。

最近のアニメでは、歌の中に男がどうたらこうたら、というのはまず出てこない。

少女漫画が原作でなくとも、主人公が女の子の方がしっくりきたり、男の子が主役でも女の子のキャラクターが変わっていて特徴があったりすることが多く、時代の変遷を感ぜずにはいられない。