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『くまみこ』

2016年4月スタートで6月7日現在放送中のアニメ。
東北地方のとある村で育った巫女の少女まちと、人間の言葉をしゃべる熊ナツ(彼女の後見人)との交流を描いている。
ドラマの肉付けとして、村人たちが村おこしをするためにいろいろなことに挑戦する様も描かれているのだが、これは中心的な題材ではない。

ドラマ自体は別にSFではないが、作中の村では、大昔、熊と人間の交配が起こり、熊が、人間の言葉をしゃべれるようになっている。そして、熊が人間の言葉を話し、人間と共存していることは、この村の秘密となっている。
山奥の秘境なのでそのようなことが成立してもおかしくないだろう、という空想の産物だ。

漫画を原作とする日常ドラマなのだが、アニメ脚本では妙な間を駆使していて、ただの日常ドラマもののアニメとは一線を画している。
大概、アニメでは、速いテンポであれ、遅いテンポであれ、一定のテンポで場面が展開していく。
意図的に間を伸ばしたりしてコントロールする、ということはしないのが普通だ。

(GAINAXの『フリクリ』『天元突破グレンラガン』は例外。変な間が面白い部分がわりとあった。)

もちろん原作の漫画では、アニメのように、「間」を時間軸で分かりやすく表現する手法は(漫画は紙に描かれている絵の連続なので)とれないはずだが、原作の雰囲気に影響を受けて(インスパイアされて)アニメの方で「間」の演出が施されているのは確かだろう。
作者には、多分に天然の気があるのかも知れない。

日常ドラマもののアニメも、最近ではセルを多めに投入する箇所があったり、立体感のある絵や動きを効果的に導入してめりはりをつけたり、止め絵のようにデザインに凝ってみたりと、各作品が鎬を削っている状況だ。

このような作品に出会うと、ここまでアニメが進化するまで、長くアニメを見て来て良かったと思う。

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