『ルパン三世』 2015
ルパン三世の30年ぶりの第4テレビシリーズ。現時点でTVシリーズとしては最新だ。
2015年10月~2016年3月に放映された。
最近のTVアニメの例に漏れず、アニメーションの動きや技術だけでなく、アートワークにも当たり前の線を外す工夫が見られる。
アニメーション技術はどこのスタジオでも秀逸なので(過去のアニメ作品の蓄積から良く研究されている)、差別化を図るため、最近のアニメ作品においては、それ以外の要素に変化を持たせることが多い。
止め絵として見たときにも映えるように、アートワークを工夫するのが流行っている。
余談だが、音楽で差別化するパターンもよくある。
オープニングやエンディングに起用する曲や、劇中のサウンドトラックに、気鋭の作曲家をあてることがある。
この点では、歴代のルパンの音楽を手がけている大野雄二さんが堂々と起用されていて、一本柱が通っている。
オープニングは『ルパン三世のテーマ』の新アレンジで、冒頭からマンドリンのような特徴のある弦楽器(リュートか?)が鳴り、シチリア風になっている。
美術に関しては、本作はキャラクターデザイン・背景共に、大分異色だ。
キャラクターの方は、一見、アクションに合うんだろうかという感じの女性的なデザインで、背景の方は、それほどリアル指向でもなく、素朴な雰囲気をわざと残しているかのようだ。
ただ、冗談のようなこれらのアートワークが、ちゃんと格好良く動く。意外な感動がある。
ストーリの方だが、舞台をイタリアに限定している。
特に、山あいの小さな国家サンマリノ王国を中心としている。
世界最小の国はバチカン市国と記憶しているが、ほかにもここまで小さな国がイタリア国内に実在するとは、このアニメを見るまで知らなかった。
本シリーズ全編に渡り、イタリア国内で話が完結している。
ルパン三世のシリーズのことを良く知っている人が脚本を書いているようで、昔からルパンを知っている私としては、見ていて安心感があるのだが、特徴として、視聴者がルパン三世を知っていることを前提としているような描き方をしている。
これは純粋にアニメ作品として評価するなら、反則とも言えるのだが、『ルパン三世』でないとできないことをやっているとは言える。
新しくつくであろうファンにはターゲットを敢えてしぼっていないかのようだ。
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