コミティア117に行ってきた
表題のコミティアというのは、2次創作物を禁止した創作物即売会のイベントだ。
オリジナルな創作物の販売のみを許可している。
既に誰かが作ったアニメのキャラクタの絵などは、販売されないということだ(ただし、オリジナルな創作物の中に、他に寄稿した作品として、少し収録されている場合はある)。私はそういうものに、そこまで興味はない。
コミティアは、春夏秋冬の年4回開催されている。
同じ同人誌即売会として有名なコミックマーケット(通称コミケ)と比べると、規模は小さく、落ち着いている。
(とは言っても、万単位で人は訪れるが。)
コミティアは、存在を知っている人は知っているが、私は最近知った。
お目当てはフライさんの新刊に載っている『百日目のリリィ』というイラストだったのだが、フライさんや他の作家さんのtwitterアカウント上のリツイートからたぐって行って、気になった作家さんの作品をまとめて買って来た。
作家さんにことわりなしにイラスト本を撮影して載せるのは抵抗があるので、今回買ったイラスト本の作者の、Webサービス上で提供されている作品リンクなどを載せてみる。
【 フライさん 】
本人は、あまり会話を積極的に求める人のようには見えなかった、というのが第一印象。単に不器用なだけなのかも知れないが。
売り子さんとは雰囲気が違うので、すぐに分かった。
イラストレーターになるべくしてなった、という感じの人だ。
女性だ。
一応断っておくが、上に含まれているような百合絵(女性同志の恋愛を描いた絵で、需要は多い。ファンタジックに見えるせいか。)は、テーマとしては私の趣味というわけではない。絵としては、素直にきれいだと思う。
上掲の新刊は、twitter上で絶賛されているのだが、ごらんの通り、絵によっては美術館仕立てで枠にはめられてしまっていて、縮小されているようで、絵の細部を楽しむには今ひとつかと思われる。
ブックデザインをしたデザイナーの意図としては、間違いではない、というのは理解できるのだが。 余白を生かしたデザインを施すと、確かにこうなるだろう。
美術館仕立てにしたのは、『百日目のリリィ』(表紙の絵)が絵画風なので、デザイナーがそこから触発されてのことだと思う。 本人の意図ではなさそうだ。 気鋭のデザイナーを起用して、お任せにした、ということなのだろうが、その点では、意気込みは感じる。
現在、月刊で漫画の連載を持っており、ライトノベルの表紙・挿絵も手がけており、多忙かと思われる。 夏だし、暑い中印刷物の搬入もあり(即売会では、商品は本人や売り子さんが自分たちで持ち込む)、お疲れの様子。
商用イラストについて良く理解しているのか、作品は男性の私から見て魅力的なので、作品を知った初めの頃は、男性の作家さんかと思っていた。 pixivでインタビューが載っていたのだが、イラストを描く手元が映っていて、女性の手だったので、ショックを受けたほどだ。
別に悪い意味ではない。女性なのに、男目線で魅力的に見える絵のつぼを押さえている(意図的かどうかは別)、という点での想像力を持っていることに、衝撃を受けたということ。
同インタビューによると、「きらきらした女の子を描きたい」ということだそうだ。なんだそうだったのか、という感じだ。 「儚い」「瞬間を切り取っているかのよう」などと評されるが、「きらきらした女の子を描きたい」という一点に集約されていたわけだ。
クールな作風と、時代の要求が合致して、売れっ子になったのだろう。
【 森倉円さん 】
ブースにいた男性:「2冊になってます」
私:「ください」
買いもののとき、そのくらいしかしゃべってない。
買ったのは下記リンク内の新刊セット①~③で、今回、イラスト本2冊にクリアファイルがついて1000円。
ぱっと見て、女の子が目に飛び込んでくるのが特徴。
シンプルに見えるが、ユニークで、洗練されており、かつ垢抜けている。技術的にもレベルが高い。
【 クロさん 】
ブースには普通っぽい男性が2人ほどいた。
みなさん売り子さんに見えたが、普通っぽ過ぎて、そのうちの一人が作家さんだと判別できなかったということもあり得るか。
買った本に記載された情報を見ると、発行日からして、コミケでの新刊のようだった。
過去の作品から最近の作品までを収録した作品集のようだ。
「以前頒布したものに加筆、修正の上、追加ページを合わせた新録版」とのこと。下に示す。
リンクの上半分が表紙で、下半分は内容の一部(過去の刊行物の表紙絵)。
うまい絵というのではないが、動きまで込みで表現されている。
加えて、発想が自由。また、直感的に描いているように見える。
リンクの絵では少々わかりづらいが、色彩感覚が独特。
色の選択が、現実世界の色に、あまり縛られていない。
【 吉田誠治さん 】
作風・作品は、圧巻、という感じ。
構図が天才的。
背景画が専門らしいが、一方で、何でも描くらしい。
客観性重視のように見えて、背景にも語らせるようなバランス感覚がある。
女の子が気だるく眠そうにしているのが、印象に残る。
境内
{2019年4月11日追記: この記事の初回執筆時には、とらのあな通販サイトからの引用(絵の紹介文と、吉田氏のtwitterリンクが一緒になったもの)を載せていましたが、引用文内部のtwitterリンクが、リンク先のtwitterアカウントが凍結されたために正しく表示・展開されなくなったため、代わりに、吉田氏のサイトへのリンクを、上記の通り、新たに貼りました。}
以上、みなさん販売員としては、慣れてらっしゃるというふうには言い難いかも知れないが(今回購入した刊行物の作者以外の作家さんらしき人で、販売に慣れてるふうな方もいた。商家の生まれなのだろう)、イベント全体の雰囲気のせいか、そこまでは気にならない。
イラストレーターは絵が命、というのは良く分かった。
作家さんご本人との出会いは、良い形になるとは限らない、ということも、付け加えておくとしよう。
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